多様な勤務形態を導入で、離職率の低下と負担軽減を実現

小林記念病院

看護師が長年勤務できる環境を作るためには、育児や介護休暇の整備や勤務形態の見直しだけでなく、業務改善による効率化や他業種との連携など幅広い改善が求められます。

愛知県碧南市にある小林記念病院では、ライフステージにあわせた多様な勤務形態を導入したことで、離職率の低下、さらに負担軽減のために実施した他業種との業務支援が、患者サービスにも繋がりました。

職場環境を大幅に改善するきっかけとなったのは、2002年に同病院が急性期病院から療養型中心へと病院機能の転換を図ったことで、離職率が50%を越えるという大量退職の事態に直面したことです。

さらに、看護職員の産休・育休の取得が続いたことで慢性的な人手不足の状態に陥り、常勤職員に大きな負担がかかったため、モチベーションも低下することにもなりました。そこで、ライフステージに応じたワーク・ライフ・バランスを考えた環境づくりを実施しました。

具体的には、まず既婚者には週35時間の短時間正職員制度、日勤常勤制度、自由な勤務時間の選択などの「仕事と家庭の両立支援対策」が好評です。院内保育所も看護職員の約半数の方が利用しています。

一方、独身者は連続5日間の休暇制度や2日間の季節休暇を、旅行や自己啓発を使っています。また、年間スケジュールを決める際に、連続休暇の予定をはじめに組んでもらうことで有給休暇消化率も従来の40%から70%近くにまで上昇しました。

さらに、看護業務の内容の見直しも行いました。働く職員の条件に合わせて、部署ごとに勤務時間や時差出勤を柔軟に組み合わせ、人員が充実する時間帯に人手が必要な業務をシフトするなどの工夫をしています。

また、受け持ち患者を常勤者と非常勤者の二人で担当して継続した看護を提供したり、申し送りや記録方法などを見直すことで超過勤務の削減にも取り組んでいます。

職種間の連携を密にし、専門性を活かした支援体制の支援にも力を入れています。なかでも栄養管理科での経管栄養の準備、言語聴覚士によるリハビリを目的とした食事援助、歯科衛生士による口腔ケアと嚥下遅延患者の食事介助などは、看護・介護職員の業務の軽減及び患者サービスの向上にも繋がっています。