20種類以上の勤務シフトでワークライフ・バランスを実現

小倉第一病院

福岡県の北九州市にある小倉第一記念病院は腎臓病、糖尿病の血液透析を中心とした透析専門病院です。同院は透析室看護師(正職員21名+パート3名)の平均勤続年数が17.2年と非常に長く、「子育てをしながら働ける職場環境づくり」を推進する病院として知られており、「北九州市ワーク・ライフ・バランス市長賞」など多くの賞を受賞しています。

同病院が看護師をはじめとするスタッフに「働きやすい」と評価される理由は、休みが多く、かつ希望した休みを確実に取得することができるという点にあります。管理者は、独身者、既婚者を含めた全員が望んだ休暇をすべて反映した勤務表を作るために、多くの努力を行っています。

まず、「子供が小さいので日勤しかできない」、「夫が朝の子供の面倒を見てくれるので早出勤務はOKだけど、準夜勤務は難しい」、「毎週○曜日なら夜勤ができる」など、看護師各自の大きな勤務条件を把握した上で勤務表作りに取り組んでいます。

シフトの種類が少ない病院であれば、これらの条件を全て受け入れていると、どうしても他の看護師への負担が大きくなりますが、患者数や現場の状況の変化に応じて柔軟に変更できる20種類以上の勤務シフトを導入しているため、調整が利きやすくなります。

そのため、勤務時間帯に大きな制限があるスタッフでも働きやすい時間帯に業務を担ってもらうことができるのです。また、各自の条件は原則としてスタッフ全員に公開されているので、「お互いさま」という意識が共有されており、不公平感が生じにくくなっています。

また、同病院では、連続有給休暇(3日)の規定があります。結婚記念日や子供の誕生日など自分の特別な日に取得する「メモリアル休暇」や、疲れを取るための「リフレッシュ休暇」などです。どちらも、週休2日をつけて連続5日の休暇を取ることが可能となっており、さらに、1万円の休暇手当ても支給されます。

本人もしくは子供の発熱や体調不良などで欠勤する場合には、休日の人に交代で出勤してもらえるように調整します。代償として、その後同じ月内で休みを交代で出てくれたスタッフに返すようにしています。月の後半であれば、翌月に返すことになります。

こうした勤務交代は、一般的に勤務を代わったスタッフに負担がかかりますが、同病院では全員が1ヶ月に10~12日程の休みを入れているので、急な勤務交代にも比較的スムースに対応ができています。

なお、休みが多いと申し送りが十分にできないなどの業務上の懸念がありますが、同病院では、グループウェア・eラーニングを活用して、申し送り等の情報共有を行っており、休暇を取ることによるデメリットは生じないように工夫がなされています。