「働きやすい病院作りプロジェクト」を発足させた佐久総合病院

長野県の佐久総合病院(病床数:821)には21ヶ所の急性期病棟や慢性期病棟のほか、外来や保健予防活動を主とする日勤中心の配属先が20ヵ所、さらに介護老人保健施設や訪問介護ステーションがあるなど、看護師として活躍できる職場の幅が広いため、結婚や出産、子育てをしながら働ける環境が以前から整っていました。

しかし、2006年の診療報酬改定において、7:1の入院基本料が新設されたことにより、今後は看護師の確保が難しくなると予想されました。そこで同病院では、病院で働くスタッフによる「働きやすい病院作りプロジェクト」を発足させ、全職種から委員を選出して会議を重ね、看護師をはじめとするスタッフをバックアップする制度をつくりました。

具体的には、育児中の職員を対象に短時間正職員制度を導入しました。また、心身の疲労や子供の病気、親の介護などなどで離職を希望する看護師への対策として、年度途中でも異動希望の受け入れを行っています。短時間正職員制度の導入によって負担が増える若手には手当てを手厚くして、不公平感が出ないようにしています。

そのほか、7:1以上の看護を必要とする患者も増えていることから、医師事務作業補助者、看護助手などの配置を充実させ、看護師が本来の業務に専念できる体制も整えています。

保育所に関しては、2008年より24時間保育と病児病後保育にも対応できるようにしたほか、保育料金も月額4万7000円から3万円に引き下げ、時間外保育料も無料にしました。

病院全体で制度への理解を深めるために、「働きやすい環境づくりグループ」をはじめとする5つのワーキンググループをつくり、師長による報告会を実施しています。報告内容は各職場に持ち帰り、実戦につなげられるように検討を行っています。