短時間正職員制度なら、安心して仕事と育児の両立ができます

短時間働くナースの強い味方です

看護師を正規職員として雇用する場合、多くの病院が「夜勤などの交代制勤務はもちろん、残業もいとわない」ことを条件として求めてきました。そして、出産や子育てなどの理由で交代制のフルタイム勤務ができなくなった場合は、「パートタイマー」として正規雇用に比べて処遇の不安定な立場で雇用されるか、病院を辞めざるを得ないのが現状でした。

現在、働く意志と能力を備えているにも関わらず現場を離れている「潜在看護師」は国内で55万人もいるとされていますが、その原因として、このような硬直化した雇用スタイルがナースを遠ざけていることが挙げられます。そしてその結果、深刻な人手不足の状態が恒常化してしまったのです。

そこで近年は一人一人の生活スタイルに配慮した「多様な勤務形態」の導入が進められており、多くの方が看護師としての仕事を続けたり、あるいはブランクを乗り越えて現場復帰を果たしています。これにより人材の確保・定着の面でも効果が出ています。

【正職員・短時間正職員・パートタイマーの一般的な相違】

  契約期間 退職金 昇進 育児休業
正職員 無期
短時間正職員 無期
パート 有期 × ×

なかでも注目されているのが、フルタイム勤務より一週間の所定労働時間が短いけれども、社会保険の適用、昇進昇格、育児・介護休業の適用、福利厚生の適用などが正規雇用の職員と同等な「短時間正職員制度」です。給料は勤務時間を反映して少なくなりますが、安心して出産・育児、介護が出来ますし、仕事を中断することなく続けることで、これらが一段落した後のフルタイム勤務への復帰も容易に行なうことができます。

夜勤回数などで周囲のスタッフに負担がかかると当初は懸念されていましたが、人員配置の工夫や看護記録の簡略化などで全体の業務を効率化したり、「子供が生まれたら今度は自分の番だから(出産・育児世代)」、「親の介護が必要となれば明日はわが身(50代)」と理解してくれる方が多いとのことで、順調な滑り出しを見せています。

また、離職率も導入前に比べると大幅に改善されただけでなく、「安心して働くことができる」というクチコミ等で就職希望者も増え、スタッフ全体のレベルアップにもつながっています。

病院の経営側の立場で見ると、短時間正職員はパート職員に比べて人件費が高くなりますが、「現場に慣れた技術ある看護師がいることによる医療安全を考えれば、十分に納得できる範囲」として、今後も継続の方針を打ち出しているところがほとんどです。

現在、同制度は大病院をはじめ、全国の約2割の病院で導入されています。中小規模の病院に関しても、補助金を出す自治体が増えており、今後普及していくものと期待されます。