入院期間の短縮化で患者支援に欠かせない退院調整看護師

入退院のアセスメントを行います

医療技術の発展に加えて、医療費の抑制や「検査・薬漬け体質」と批判される過剰な医療防止の観点に立った行政指導により患者の入院期間は短縮化する傾向がありますが、そうであればあるほど、入院中・退院時・退院後を絶え間なくつなぐ患者への看護支援が欠かせないものとなります。

外来看護師、病棟看護師、地域連携医療室、医療ソーシャルワーカー(MSW)、診療所、訪問看護ステーションなどが緊密な連携体制をとっていないと、患者は十分な支援を受けることできないため、症状が悪化して再び病院に戻ってくることになりかねません。

このネットワークを維持するために誕生したのが「退院調整看護師」です。患者の入院時から、「退院後はどこに帰ることになるのか?」「外来通院する手段はあるのか?」「生活をサポートする家族はいるのか?」など、重要な情報を収集し、入院時・入院中のアセスメントの情報を患者や家族と共有します。

すでに院内で退院支援や退院調整、看護相談といった部署についていても、スキルアップを目指して、退院調整看護師の養成研修を受けるケースが増えています。

2006年の改正医療法には、病院・診療所の責任者の責務として、退院後の患者に療養が必要な場合には、退院調整が追加されています。また2008年の診療報酬改訂で、「在宅患者緊急入院加算」や、退院時の情報共有を円滑に行うための「退院時共同使用料」などの退院調整関連の加算が行われました。

これらを踏まえて、退院調整看護師の養成研修会が各地の看護協会、全国訪問看護事業協会などで行われています。また聖路加看護大学の看護実践開発研究センターが行っている養成プログラムと活動支援は、スキルアップの場として注目されています。