救急医療で患者の重症度を判断するトリアージナース

ER型の診療システム導入している医療機関もあります

病院に搬送されてきた救急患者が「今すぐ」医師の治療を必要としているのか、あるいは「少し待てるのか」、待合室にいる間に「容態は急変しないか」など、初期の迅速な判断を行って患者を振り分けることは、一人でも多くの命を救うためにも非常に重要です。

トリアージは「選別」を意味するフランス語ですが、医療の領域では、血圧や呼吸数、脈拍などを計測して、症状が深刻、あるいは状態が悪化する可能性の高い患者など、緊急性のある患者から順番に医師の診察を受ける流れを作る能力を備えた看護師のことを「トリアージナース」といいます。

救急外来には、年間におよそ40,000人の患者が来院します。診察の順番を待っている間に患者が待合室で急変し、救命できなかったケースも多々ありますが、看護師がトリアージを実施した場合は、待合室での急変は無く、心筋梗塞などの重症患者を待たせずに対応していることが記録の調査から明らかになっています。

また、患者・家族への調査では、看護師によるトリアージがあったおかげで「症状が悪化するのではという不安が軽減した」、「自覚症状はなかったが、急を要すると判断してもらって助かった」といった意見が多くありました。

このように、救急外来における緊急度・重症度のトリアージは、救急医療のニーズが高まっている近年の情勢を鑑みた場合、救急部門看護師にとって最も重要な業務といえます。

厚生労働省は、夜間・休日救急の限定付きで、「院内で具体的な対応方針が整備されている場合は、専門的な知識・技術を持つ看護職員が、診療の優先順位の判断を行う」ことで、効率的な診療を行うことが可能としています。

トリアージナースの候補にはまず「救急看護認定看護師」が挙がりますが、全国に400名弱しかいないため、数千人単位で必要とされている現状とは大きなギャップがあります。

そこで日本救急看護学会日本臨床救急医学会はトリアージナースの要請に関する合同委員会を設置し、その教育コース開催に向け準備を進めています。養成方法は、2009年末現在、最終案の決定には至っていませんが、インターネットを利用した「eラーニング」になる予定です。受験資格は「救急部門で2年以上の経験がある看護師」となるもようです。