高齢化社会と在宅医療の推進で注目される訪問看護師

セコムなどの異業種も参入しています

社会保障・医療制度の構造改革、在宅医療機器の進歩などによって、在宅医療が推し進められたことに加え、身体的・精神的な安心感が得られるならば、住み慣れた家庭で、家族や親しい人々に囲まれて人生の終焉を迎えたいと願っている高齢者や慢性疾患終末期の患者さんが増えたことから、以前にも増してニーズが高まっているのが訪問看護師です。

基本的には訪問看護ステーションに勤務し、ご利用者の自宅を訪問して、体温・血圧・脈拍測定などのバイタルチェック、トレイ・入浴の介助、リハビリの指導、服薬コントロールによる痛みの緩和、点滴、ご家族へのアドバイス等を行います

在宅医療を受ける方の多くは、現在の病気の改善を目的とされていますが、なかには終末期を在宅で迎えるためのターミナルケアを希望する方もいます。その場合は家族とともに、ご利用者の最後を見守りながら、最後までサポートを行います。

大規模な病院で働いていると医師のために働いているのか、患者さんのために働いているのかわからなくなる、という方も少なくありません。対して、訪問看護のお仕事はご利用者と1対1で接する機会が多いため、ご家族を含めて密な関係を築くなかで、一緒に生きる喜びを共有できるのが最大の魅力ではないでしょうか?

訪問看護ステーションの利用者は、子供から高齢者まで年齢や病気の幅が広いため、看護師に求められる知識や技術も高くなります。病棟勤務の場合、患者さんのベッドサイドで疑問点があれば、その場で同僚・先輩看護師、あるいはに医師に確認をとることができますが、一人で訪問することが多い訪問看護師の倍、○×ができない、わからないでは利用者に必要な医療が提供できなくなってしまいます。

また、主治医や介護職と連携してケアをする能力も問われるため、看護師経験3年以上を採用の条件とする事業所が一般的です。ただし、近年はセコム訪問看護ステーションのように、教育プログラムを充実させ、先輩看護師と一緒に訪問しながら知識や技術を身につけることができるステーションも増えてきており、病棟勤務のない新卒の看護師さんが最初の就職先として訪問看護ステーションを選ぶことも可能になりました。

1日の一般的な訪問件数は4~5件で、1回あたりの訪問時間は30~90分程度です。責任は大きいですが、ご利用者を一人で担当する担当制ではなく、スタッフ全員でローテーションで診ることが多いため、問題を一人で抱え込まず、相談やフォローが行いやすい職場環境にあります。

業界の平均就業日数は、4週8休で22日となっており、一般的にはワークライフバランスが実現できる業界と言えます。ほかに関連職種として、訪問入浴サービスに付き添い、利用者のバイタルチェックなどを行う訪問入浴看護師という仕事もあります。