院内紛争に対して患者と医療者間を仲介する医療メディエーター

対話や解決を目指します

採血や輸血に際して患者名を確認しないなどの不注意から起こる患者間違いや、投与する薬剤の取り違えなど病院内での「ヒヤリハット(インシデント)」事例への改善の取り組みは厚生労働省によるデータベース化などをはじめとして随分と進んできていますが、患者と医療者との間での苦情や医療事故・紛争の発生に対する取り組みは遅れ気味です。

しかし、欧米諸国を中心に医療分野に裁判以外による紛争解決手法、いわゆるメディエーション(調停)を導入する動きが広まっています。

そこで「対話と問題克服のための汎用的なモデル」を提供する目的で2008年に誕生したのが、この「認定医療メディエーター」で、社団法人日本医療メディエーター協会が養成プログラムを提供しています。

医療メディエーターは病院内の初期対応として患者と医療者の対話を仲介する役割を担っており、認定対象を医師、看護師のほか医療機関職員(医療有資格者に限定されない)としています。

その理由として、「院外の第三者」が調停者として活動すると、弁護士以外の者が紛争処理業務を含む法律業務に携わることを禁じた弁護士法に抵触する恐れがあるためです。

医療メディエーターの役割はあくまでも問題の発生した患者と医療者の対話の場を設け、当事者同士の良好な関係の構築を支援することであり、どちらか一方の側の意見を代弁したり、解決策を示すことではありません。