出産・育児、超過勤務や夜勤の負担が離職理由の上位に

労働環境の悪化が問題

日本看護協会が実施した「病院における看護職員需給状況調査」によると、常勤看護師の離職率は11.9%、新人の離職率は8.9%と高い率を示しています。

全国の医療機関が毎年のように看護職員の確保に尽力している一方で、看護師の資格を持ちながらも現場復帰をしないでいる潜在看護師は55万人を超えています。

何故このように多くの看護師が離職するのでしょうか? 同協会が実施した調査の報告書によれば、離職理由は下のグラフが示すように、妊娠・出産、結婚、育児、家事との両立が困難といったライフイベントに関する理由が多くを占めています

それと同時に、勤務時間が長すぎる・超過勤務が多い、夜勤の負担が大きいといった職場環境に関する理由が挙げられています。このライフイベントの理由に関しては、家事や育児に専念したいという積極的な理由で辞めた方も当然いるかと思いますが、夜勤や長時間勤務が困難なために離職を選ばざるを得なかったことが背景にあろうということは、誰にでも想定できるところでしょう。

個人の状況にまつわる理由

職場の環境に関する理由

2008年の「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」によると、交代制勤務をする看護師の4.3%が過労死の危険レベルとされる月60時間を超える時間外勤務を行っていると推定され、併せて3交代勤務のうち6割弱は勤務間隔が6時間以下であることも判明しています。また、特に20歳代と中間管理者(本来の業務に加えて新人教育の負担が過重)の超過勤務時間が長くなっています。

さらに3交代制勤務にある看護師の25%は月10回以上の夜勤を行っているという実態があります。急性期病院を中心に2人夜勤から3人以上夜勤への改善は認められているものの、夜勤回数という点ではなお、多くの医療機関で厳しい勤務実態が続いています。

このような夜勤回数の多さ、勤務の間隔が短いこと、夜勤に加えて超過勤務という長時間労働は、看護師の慢性疲労を増加させるだけでなく、看護師の離職原因の一つでもある「医療事故への不安」にもつながっています

従来の医療機関は、夜勤・交代勤務、超過勤務ができる人だけが評価され、働き続けることができるという画一的な労働環境にあり、このことが高い離職率につながっていたことは紛れもない事実です。

その背景には、公平・画一的な働き方へのこだわりや、自己犠牲的な働き方も当然と捉える看護界に長年根付いてきた風土が強く関係していると考えられます。

しかし、近年、一部の大型病院を除いて看護師の採用が容易でないことや新人の育成には経済的にも時間的にも大きな負担が伴うこと、ワークライフバランス(仕事と家庭の両立)を願う意識の変化等を踏まえて、保育施設の整備や、短時間正職員制度、日勤・夜勤専従、フレックススタイムをはじめとする多様な勤務形態の採用、他の医療職や事務職、看護補助者との役割分担・委譲など、看護師が働き続けられる環境をつくる医療機関が増えてきました。