復職支援セミナーに参加した看護師(34歳:離職期間6年)の感想

私が参加したのは、病床数約400の医療センターが主催した「看護師の復職支援セミナー」です。近隣エリアには同様のセミナーを開催している医療機関は数多くありましたが、研修期間が10日間と本格的なものだったことと、就職を希望する場合には引き続き「インターンシップ」コースが用意されているという2点が選択の「決め手」になりました。

研修初日のオリエンテーションでは、先着順で選ばれた20名を前にして、看護師長から「医療の専門知識や技術と同じくらい、患者さんの気持ちに寄り添い手を差し伸べる心も必要ですから、皆さんが出産や育児を経て積み重ねた「母」としての経験は必ず看護にもプラスになるはずです。」という趣旨の激励がありました。

今回、セミナーに参加するうえで一番期待していたのは実技演習でした。演習が始まる際にまず驚かされたのは、採血・静注、筋肉・皮下注射、吸引、経管栄養、導尿・浣腸に使用するシミュレーターがどれも新しく、自分の学生・新人時代のモデルよりも肌の質感、抵抗感、刺入感がリアルだったこと!

真空採血管を使用中

最初の演習は、ブランクの影響で技術が最も衰えていると思っていた採血でした。実際の患者さんが相手ではないとはいえ、真空管の直針を行うのは約6年ぶり。練習用アームの模擬血管と模擬血液が醸し出す臨場感と、久しぶりに採血を行うという緊張感に気後れしたのか、最初の3回は途中で針が抜けてしまいました。他のグループを見ても、最初は失敗したのか、皆さんも互いに目を合わせて苦笑していました。

それぞれのグループにいる講師役の看護師さんからは、「この血管は張りがあるじゃない?こういう場合は、もう少し角度をつけて深めに刺入すると上手くいく」とか「スピッツを入れ替える際、もう少しキッチリ固定しないと針がずれて貫通する恐れがある」など、マンツーマンで具体的なアドバイスがあり、この時ばかりは皆さんも新人時代に戻ったように真剣な目で聞いていました。

私のグループには、翼状針による採血がメインで真空採血管をほとんど経験したことのない方もいたのですが、そういう方でも何度もチャレンジしたり、疑問点をどんどん質問できるのが、少人数参加型&日程に余裕のあるセミナーのメリットですね。

参加人数が多かったり、時間が短いセミナーは一人当たりの指導時間も短くなりがちです。そうすると、採血などの実技演習で失敗したまま終了時間を迎えてしまい、かえって自信を無くしてしまうというケースもあるようです。

逆に私が参加したセミナーの場合、これだけ丁寧に教えてもらっているのに、セミナー後のインターンシップに参加しないで他の病院に復職したら流石にマズいんじゃないだろうか?という雰囲気がムンムンと漂っていたことを覚えています(笑)

初日は、採血(真空管・シリンジ)に続き、DIV(点滴静脈内注射)とIV(静脈内注射)の実技演習を行い、最期に、ブランクから復帰して子育てと仕事を両立している先輩看護師の体験談を聞きました。自分と同じ経験をした先輩の言葉は説得力に富んでおり、勇気づけられました。

2日目以降、外来・病棟で実際の看護業務を見学したり、医療機器の取扱い(心電図モニター、輸液ポンプ、シリンジポンプ)、各症例ごとのアセスメント方法、医療安全管理などの指導を受けるなかで、ナースとして頑張っていた当時の自分の姿が頭に浮かんできました。

同じ部署で10日(3時間×10日)の研修を続けたため、日に日に業務内容が理解できるようになり、大変充実した気持ちになりました。同時に医療職としての責任の重さも改めて痛感することになりました。

看護師をはじめとするスタッフの仕事に向かう姿勢や接遇が素晴らしく、本来の業務で多忙ななかでも笑顔を忘れずに指導してくれました。自分もこのような病院でもう一度働きたいと、モチベーションが高くなるのを感じました。知識やスキルの再習得にはまだまだ時間がかかりそうですが、少なくとも心の準備は整ったと思います。

また、主人と娘も私が連日研修に参加することで、実際に私が看護師として再び働き始めることになれば、生活リズムにどのように変わるのかを理解することができたようで、看護師としての仕事に対する理解と協力を示してくれたのもとても嬉しかったですね。